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ワンニャン栄養学
第9回目(2004.6) 
■■ イヌとネコの食性の違い ■■
ワンニャン栄養学 第9回 先生のイラスト
Dr.Rのなるほどトーク
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 イヌもネコも食肉目裂脚亜目に属する動物です。イヌはイヌ科イヌ属、ネコはネコ科ネコ属に分類されますが、このような動物種の違いに加え、家畜化の歴史が異なるため、イヌとネコには共通点とともに多くの相違点があります。
 イヌが家畜化されたのは今から15,000年前といわれており、人間との長い共同生活の中で雑食性が進んだといわれています。一方,ネコが家畜化されたのは約4,000年前で、穀物を食い荒らすネズミを捕るために飼われたため、雑食化は進まなかったと考えられています。

表1 イヌとネコの歯式(永久歯)
  切歯 犬歯 前臼歯 後臼歯 総数
イヌ 上顎 3 1 4 2 42
下顎 3 1 4 3
ネコ 上顎 3 1 3 1 30
下顎 3 1 2 1

 イヌとネコの食性の違いは、体の構造にも現れています。イヌはネコに比べ、食物をすりつぶす役目をする臼歯が合計12本多く、雑食傾向が強いことを示しています(表1)。また、腸管:体長比はイヌが6:1、ネコが4:1とイヌのほうが1.5倍長くなっています。このことも、イヌがネコより植物性のものを多く摂取していることを表しています(表2)。

表2 イヌとネコの消化管容積比
   および腸管:体長比
  容積比(%) 腸管:体長
小腸 大腸
イヌ 62.3 23.3 14.4 6:1
ネコ 69.5 14.6 15.9 4:1

 食事の仕方もイヌとネコでは異なります。ネコは本来、ひとりで自分より小さな獲物(ネズミなど)を捕まえて食べます。したがって1日に必要な食事量を満たすためには、何度も獲物を捕まえなくてはなりません。このためネコは、昼夜を問わず少しずつ何回にも分けて食べる習性があります。一方イヌの祖先は、群生活を行い共同で大型動物を捕らえ、群内の社会的順位に従って獲物を分け合って食べていたと考えられています。しかし大型動物を毎日捕まえられる保証がないため、一度に大量の食事を取る、いわゆる「食いだめ」をしていました。このため現在のイヌも食事と食事の間隔が長く、一回の食事量もネコより多くなっています。このように食事の仕方に違いがあるため、ネコでは不断給餌(食器が空にならないよう、食事を絶えず補給する方法。いつでも好きなだけ食べられる)でもよいのですが、イヌでは1日1〜2食にして与える方法がとられています。
 食事の好み(嗜好)も、イヌとネコでは異なります。上で述べたように、ネコは小動物を捕まえてその場で食べる習性(新鮮肉食)を持っているため、体温に近い40℃前後の温かいものを好みます。一方イヌは食物を貯蔵する習性を持ち、新鮮肉だけでなく腐肉も食べます。このため、イヌは暖かいものでも冷たいものでも喜んで食べます。また、イヌは甘味を好みますが、ネコは砂糖の甘味を感じることができません。さらに、ネコはイヌよりも高脂肪食を好むといわれています。
 このように、イヌやネコに喜んで食事をしてもらうためには、それぞれの食性や嗜好について配慮することも必要です。

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